Transparent RAES

                        

かつてはWadia7のためにRCA-BNC変換プラグが必要なRDL1から買い替え、Wadia170 iTransportとNo.360Lを繋ぐため安物XLR-RCA変換プラグを使ってまで残そうとし、挙げ句やっぱり出戻ったRDL1にその座を奪われた米国Transparent社Referenceグレードデジタルケーブル。


TransparentのReferenceグレードで唯一、箱のつかないケーブルです。存在意義「箱」なメーカーの「箱無し」をこよなく愛する玄茶屋にとって欠かせない一品。ケンカ売ってんのかと脅されて這いつくばっても何度でも縋り付くよーに言いましょう。箱は別にいいから。


Transparentという名の通り、空間の透明度が高く、その中で精密描写の如く音像が定位します。高域の滑らかさと低域の密度と伸びが両立し、特に低域深くまで均一でブレの無い描写は見事です。


表面を研磨した極太導芯を使っているらしいですが、一般的な銅単線系のような実体感重視で高域が丸く落ちる感じは全く無く、線材構成の異なる同社のRSEと非常に共通点の多い音がします。特にRSEの箱が金属製だった頃の音に近く、重心を低くして安定感をもたらす傾向があります。もしかしたら、重心の低さはキャノンコネクターの外装がオリジナルの金属製となっているのが影響しているのかもしれません。


近年、各シリーズのコネクターや箱は金属製から樹脂やカーボン製に変更されていて、音の傾向も重心の低さや密度の高さを特徴とするものから、ニュートラルな帯域バランスや空間表現の一層の拡大を特徴とするものに変化しています。マイナーチェンジ後のモデルは、上流から下流まで統一しても暗さや重さが過多とならないバランスの良さを獲得したものの、ここには一本コレしか無いという魅力は後退しました。特にKimber Selectの銀線を好んで採用する場合、一本は旧型のTransparentが欲しいところです。

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