ケーブルその他

                        

ELECTRA GLIDE FATMAN2000GOLD

                        

ガレージメーカー大国アメリカにおける怪しげケーブルメーカー代表格、ELECTRA GLIDEの上から2番目のグレードに位置付けされているモデルです。


何の冗談か、本国の定価は2,750ドル。それだけの価格であるだけのワケが何処にあるかはわかりませんが、とりあえず作りはヘンです。プラグを外した事は無いので正確な中身もわかりません。外形からわかるのは、やたら太くてブニブニと柔らかいのに中心部だけプラ版が通してあるのか、特定の間接部分以外では曲げる事が出来ません。正直、使い難い。


なぜこのツチノコもどきを買ったのかと言えば、単純に音が良かったからです。


事の起こりは、ある日今はもう無いダイナミックオーディオ・アクセサリーセンターにて、ガラスケースに横たわるツチノコを発見したところから始まります。


玄茶「・・・。ツチノコ発見!ツチノコ発見!」

店長Sさん「ちゃうちゃう」

玄茶「チャウチャウちゃうんちゃう?」

店員Iさん「チャウチャウちゃうんちゃうんちゃう?」

店長Sさん「違います。ツチノコでもチャウチャウでもありません。お客様からの委託品です」

玄茶「へぇ〜。なになに?エレクトラ・・・グライド。の、ファットマン?」

玄茶「ってあれ?H君の初オーディオの?」

店長Sさん「そうそう」


H君の初オーディオとは、当時大変賑わっていたオーディオ掲示板において、誰もがうらやむAVALONのEIDOLONを使う一人のオーディオマニアが、H君という友人のアメリカにおけるオーディオ選び顛末記を連載的に書込んでいたその題名です。


玄茶「こんなのだったんだ・・・。しかしこれは、使えるのか?ちなみにおいくらです?」

店長Sさん「○万円ですよ」

玄茶「む。ちょうどトランスポート用の電源ケーブルに考えてた予算だ。聴かせて下さいな」

店員Iさん「じゃあ、2階で比較試聴しましょうか。どれと比較します?」

玄茶「AC DESIGNのZEROと比べたいですね」

店員Iさん「了解〜。ああ、ちょうど今P-50sに差してありますね」


2002年頃当時のアクセサリーセンターでは大抵以下のようなシステムが標準で置いてありました。

CDトランスポート : Esoteric / P-50s

D/Aコンバーター : Mark Levinson / No.360L

プリアンプ : GOLDMUND / Mimesis 27 Evolution

パワーアンプ : GOLDMUND / Mimesis 28 Evolution

スピーカー : B&W / Nautilus802


玄茶「ふん。ふん。いつも通り良い音ですね。では変えてみて下さいな」

店員Iさん「らじゃ〜。・・・よっ。ほっ。・・はっ。っと。なんの。ふんぬらば!」

玄茶「うわ、使いにくそう。うははは。無理矢理な繋がりっぷりですね」

店員Iさん「ぶ。あははは!こ、これは酷い」


残念ながら画像に残してはいないのですが、そう、それはもはや機材に電源ケーブルを接続する図ではなく、コンセントに尻尾がはさまったツチノコが黒い箱に頭を突っ込みもがいているような光景でした。


玄茶「ま、とにかく聴いてみないと」

玄茶/店員Iさん「「!?」」

店員Iさん「こ、これは」

玄茶「すっごい情報量。洪水みたい」

店員Iさん「新品と中古の同価格ですけど、それを差し引いても格が違いますね」

玄茶「これ、音からすれば売値設定安過ぎですね?」

店員Iさん「そうですね〜」

玄茶「音を聴かせれば数割〜倍の価格設定でも売れそうですね?」

店員Iさん「う〜ん、確かに」

玄茶「今の時期、店の売り上げ厳しいですね?」

店員Iさん「え?そりゃまあ・・・はっ!て、てんちょ」

玄茶「よし買ったぁ!」


中古品は一期一会ですから。日本に正式な代理店も無く、見た目もアレなので持っている人自体少ないのでしょう、試聴出来る状況でファットマンを見た事はこの件以来一度もありません。なにやら偽物も多く出回ったようで、音を聴かずに買うのは大変危険な製品です。聴いて納得出来さえすれば真贋など何の問題にもなりませんが。


ファットマンの情報量の出方はJPS LabsのKaptovatorに似ています。カプトベターの独特なぬめりとした滑らかさはファットマンには無く、ひたすら情報量情報量という感じ。Fレンジの普通さも似ていて、中域重視の傾向です。聴いた感じS/Nが良くなったようなのは同じでも、Fレンジを拡大させムダをそぎ落として吸い取るMITのZ CORD AC2とは真逆の性格です。

Synergistic Research Designer's Reference SQUARED Master Coupler

                        

MIMESIS 28 EVOLUTIONに使用中の電源ケーブル。米国Synergistic Research社の最上位モデルです。


アクティブシールドが採用される以前の、メーカー初期モデルです。後継はアクティブシールド採用のDesigner’s Reference SQUARED Master Coupler X-Series、そしてスクエアクラスの集大成とも言えるAbsolute Reference A/C Master Coupler X2-Seriesへと至り、TESLAシリーズへと続いています。TESLAシリーズに関しては、例のごとくTAK LABのクラシック鑑賞日記をご覧下さい。そしてまた欲しくなって下さい。そしてやはり買ってしまえ。


メーカー初期製品ならではの、暴れ馬的に突き抜けた個性を持っています。あっけらかんと余裕で途轍も無く低い所まで沈み込む低域と、鮮やかな色彩に富んだ中高域、明確な一点から音を発しながらもあふれんばかりに広く拡散する響き、それらが怒濤のごとく押し寄せながらも、音像は一つのシルエットとしてまとまり、品位の高いしなやかさを感じさせます。


二代目たるSQUARED X-Seriesは、真っ直ぐブレずに深くまで伸びる低域と、上下左右に広大な音場、明確だが若干線の細い音像描写が特徴でした。三代目のAbsolute ACは、どこまでも低く深く伸びる見通しの良い低域を基本に、広く深い音場に精緻な立体音像が明確に定位します。どちらもアクティブシールド特有の空間の静寂があり、微粒子的なディテールが固定化されるように音像へ集約する傾向があります。その点、初代のSQUAREDは、音の中心は明確ながらも膨大な情報量が自由奔放に拡散することで開放感を感じさせますので、アクティブシールドとはまた違った個性的な魅力を感じます。


この洪水のような情報量はELECTRA GLIDEのFATMAN 2000 GOLDに通ずるものがあり、一つ二つ不足する要素でもあれば音が暴れて収拾がつかなくなる危険性も孕んでいます。


ACプラグはオス側がWattagateの金メッキ。メス側はおそらく真鍮製です。後継機でも他のモデルでもWattagate製プラグのロットは見ませんでしたので、この個体はかなりの珍品です。

Kimber Secect KS-3033

                        

Confidence C2とMIMESIS 28 EVOLUTIONを繋ぐスピーカーケーブル。米国Kimber社のSelectシリーズにある銀・銀銅ハイブリッド・銅というラインナップ中の銅線モデルに、片側のYラグをWBTの銀モデルへ交換した特注品です。


ノンシールドと編み込みの本家であるKimberですが、Selectシリーズはそれを匠の域まで極めたものです。ケーブル自体太く見えますが、これはムダに太くなっているわけではなく、シールドを使わずにS/Nと高域特性を極限まで高めるため、プラス・マイナスの導体を直角に交差させるのに一定の径が必要になるからです。発泡樹脂等を駆使したケーブル全体の振動対策と、極薄の絶縁被服に複数の線径で芯線内部の共振すら排除する徹底ぶりです。

末端は金メッキの銅スリーブで圧着処理されており、WBTの銀ラグを指定して注文すると銀のスリーブになります。なお裏技として、アンプ側とSP側どちらか本来銀ラグを付けたい側とは逆に注文して、実際の配線時に銀ラグを付け替えると、低コストで両端に銀を仕込む事が可能です。


Kimberの法則として、銀線が何本入るかによってモデル毎の価格差がつけられています。ただし、KCAGと、ハイエンドバージョンと謳われるSelectシリーズのKS-1010で価格の逆転現象が起きている事からも、必ずしも全てが全て銀が上位というわけでもないという意味を含んだ商品ラインナップをKimber自身が行っています。


KCAGの音はまた別の機会に触れるとして、Selectシリーズの中における銅と銀の関係を整理すると、聴き込む毎に互いの特徴と補完関係が見えてきます。銅は中域を中心に弾力感のある弾むような音の出方をし、銀は高域を中心に繊細さ極まる何処までも伸びるレンジ感を出します。


SPを筆頭に各機器やケーブルとの相性、何より聴き手の感性によって評価が異なるものではありますが、あえて踏み込んで言ってしまえば、高いから、銀だから、あるいは逆に銅だから、このケーブルを入れれば良くなるはずだ・・・などという考え方を持っていると見誤ります。


銅は聴かせる中心が中域であるが故に、そこに確かに在る繊細さや開放感に気付き難くなる特徴があり、銀は聴かせる中心が高域であるが故に、繊細さや開放感に引き込まれて実体が陽炎のように感じられてしまう特徴があります。どちらもバランスを欠けば異なる意味でそれぞれの特徴に飲み込まれ、良い特徴すら埋もれることでしょう。


玄茶屋のレシピは一言、銅の中に一滴の銀を。

地に根をどっしりと下ろした土台に、弱音まで弾み弾ける開放感、響き渡る一音は天に突き抜けます。

Transparent RSE

                        


No.38LとMimesis 28 Evolutionを繋ぐ長さ4.5mのシングルエンド・インターコネクトケーブル。米国Transparent社のReferenceグレード品です。


ケーブルの途中にネットワークを設ける事で、積極的に特性をコントロールしようという謳い文句で有名な製品です。が、玄茶屋としては初っ端から踏み外して行きます。箱はどうでもよろしい。


このメーカーの魅力はケーブル自体にあると見ています。


たった10mm程度の直径しかない圧力成型されたジャケットの中は、非磁性コアを中心に据え、撚り線構造のOFHC無酸素銅導体を複数の束で個別に精密成型されたテフロンで被服し、強固なシールドも施し配置しています。精度の高いテルリウム銅金メッキ端子と2%銀入りハンダ、そして何より徹底した特性管理がもたらすワイド&フラットで破綻の無い落ち着いた音色、奥行き方向に深く展開する透明度の高い音場、音像のディテールの細部まで高いコントラストで描き分け、実体に確かな感触がありそうなほどのリアリティを感じさせる一音一音の精密描写は、他では得難いものです。


その特徴は、箱を持たないデジタルケーブルにおいても共通しており、箱は必ずしも大きな方向性を決定付けるのではなく、あくまで基本的な方向性に沿った補助的なものと考えるのが自然です。Transparentにおける箱の支配力は、メーカーの謳い文句や都市伝説ほど高くなく、あくまでも地味に縁の下の力持ちと考え他方が良いでしょう。音場の深みや透明度、低域方向には効いていると思います。それから、4.5mの長さをシングルエンドで引き回しても、1m物の同品と比べて一番懸念されるはずの透明感と精密描写という魅力がほとんど損なわれていないのは、箱のおかげなのかもしれません。なお、箱付きケーブルによく感じる閉塞感などはほとんど感じられません。


Transparentは、シングルエンドケーブルとバランスケーブルで同じグレードにもかかわらず相当な価格差があり、Kimberとはまた違った意味で選択の難しいメーカーです。


まず、シングルエンドとバランスのどちらが良いかと言えば、それは当然繋ぐ機器によります。ケーブルの価格差に惑わされると、そんな基本中の基本すら忘れてしまいがちになります。同グレード品のシングルエンドとバランスを比較したとして、シングルエンドを使うとトランス等余計なバランス化回路を挟んでしまうような、バランス構成前提の機器同士で試せば当然バランスが良くなりますし、XLR端子がおまけでついてる程度のシングルエンド推奨の機器に無理矢理バランスを使っても、構造上良くなるわけがありません。


ただ、シングルエンドとバランスどちらでも一長一短ある機器で、ReferenceのシングルエンドとUltraのバランスのどちらを選ぶかとなると、これは難しい。あくまでも機器構成上の合理性で判断すべきですが、Referenceクラスの品位は捨て難いものがあるのも事実です。


Transparentは価格差というより、SuperやUltra、Referenceなどグレード間で明確に差がつけられていて、Ultraのバランスケーブルの値付けが高いからといって、Referenceの音が出るわけではありません。どうもこの辺りがメーカーの戦略的な臭いがするところなのですが、実際の音の差は端子やケーブル自体によって作られ、価格差は箱の数に合わせて付加がなされているように思います。


それを確信させたのが、初代OPUSを聴いた時です。精密描写は何処へ行ったのか、ふわりと浮き立つディテールの毛羽立ちに、ふくよかで量感たっぷりな低域、はっきり言ってTransparentらしからぬ音でした。好みはそれぞれありますが、メーカーには立脚する位置というものがあるはずです。あえて良く言うとすれば、今までのTransparentの枠を超えようとした意欲的な実験作というところでしょうか。


何故、そこまで音が変わってしまったのかというと、心当たりがあります。初代のOPUSは、ぶかぶかの布製ジャケットで仕上げられていました。内部までは確かめようもありませんでしたが、マイナーチェンジ後現在のOPUSになって、他のグレードと同様のジャケットに変更されてるというのが何よりの証明ではないでしょうか。


Transparentは比較的頻繁にマイナーチェンジをしていますが、OPUSで得られた実験の成果は効率的に下位のモデルに生かされているようです。

ちょうどこのモデルも大きな変更があった時のもので、端子のスリーブやケーブル途中の箱が金属製から非金属、非磁性体になりました。基本的な音の方向性に変わりはありませんが、旧RSEの特徴である低重心で高い密度と弾力感のある音の出方からは少しアクが抜けてしまい、高性能化された印象はあるものの少々面白みには欠けるようになってしまったかもしれません。ただし、旧RSEは上流に選ぶケーブルとしてKimberの銀と鉄板の相性であったが故に、他の選択肢を困難にしてしまっていましたが、マイナーチェンジ後は選択肢の幅が広がり、どんな方向にも振りやすくなっています。

MIT Z CORD III

                        

Master Control Center IIIに使用中の米国MIT社製Oracleグレード電源ケーブル。旧名称Z CORD AC2、Z CORD AC1、Z CORD III。途中で名称変更があり、Oracle AC2、Oracle AC1、Oracle AC3となっていますが、玄茶屋では旧名称で統一します。


Z CORD AC2は箱2つ、Z CORD AC1は箱1つ、Z CORD IIIは箱無し、という具合に、上位機種から純に箱の数が少なくなっていきます。箱以外はプラグもケーブルも全く同じ。箱の効能ですが、最低域の鈍り始める限界がより深い帯域にまで延長し、徹底的に空間のゴミや塵が吸い尽くされるかの如くノイズフロアが引き下げられて一音一音が整頓されます。ただし、ベール1枚分音像のディテールが削り取られ、広い地下室のような閉塞感も伴います。この閉塞感は、箱1つのAC1の方がより顕著でした。


玄茶屋の選択は当然の中の当然に箱無しZ CORD III。上位機種のAC2とガチで比較し、大真面目にZ CORD IIIを選択しました。Transparentでも同様ですが、あくまで基本はケーブルです。箱はそのケーブルの特徴を延長するものでしかありません。副作用を強く感じる箱であれば尚の事、無い方が良く感じるケースは少なくないでしょう。


音像に対する空間奥行きの彫りが深く、立体的な音像描写を得意とします。箱無しのため、若干低域が膨らんでいる傾向がありますが、自然のままの高域の開放感とのバランスは良好です。


ただし、Synergistic ResearchのMaster Control Center IIIに差し、アクティブシールド用として使用した場合には低域の膨らみは無く、音像の周囲をくり抜いたような立体表現と低域の解像度の高さという、Z CORD IIIの個性の良いとこ取りが得られます。

Transparent RAES

                        

かつてはWadia7のためにRCA-BNC変換プラグが必要なRDL1から買い替え、Wadia170 iTransportとNo.360Lを繋ぐため安物XLR-RCA変換プラグを使ってまで残そうとし、挙げ句やっぱり出戻ったRDL1にその座を奪われた米国Transparent社Referenceグレードデジタルケーブル。


TransparentのReferenceグレードで唯一、箱のつかないケーブルです。存在意義「箱」なメーカーの「箱無し」をこよなく愛する玄茶屋にとって欠かせない一品。ケンカ売ってんのかと脅されて這いつくばっても何度でも縋り付くよーに言いましょう。箱は別にいいから。


Transparentという名の通り、空間の透明度が高く、その中で精密描写の如く音像が定位します。高域の滑らかさと低域の密度と伸びが両立し、特に低域深くまで均一でブレの無い描写は見事です。


表面を研磨した極太導芯を使っているらしいですが、一般的な銅単線系のような実体感重視で高域が丸く落ちる感じは全く無く、線材構成の異なる同社のRSEと非常に共通点の多い音がします。特にRSEの箱が金属製だった頃の音に近く、重心を低くして安定感をもたらす傾向があります。もしかしたら、重心の低さはキャノンコネクターの外装がオリジナルの金属製となっているのが影響しているのかもしれません。


近年、各シリーズのコネクターや箱は金属製から樹脂やカーボン製に変更されていて、音の傾向も重心の低さや密度の高さを特徴とするものから、ニュートラルな帯域バランスや空間表現の一層の拡大を特徴とするものに変化しています。マイナーチェンジ後のモデルは、上流から下流まで統一しても暗さや重さが過多とならないバランスの良さを獲得したものの、ここには一本コレしか無いという魅力は後退しました。特にKimber Selectの銀線を好んで採用する場合、一本は旧型のTransparentが欲しいところです。

Synergistic Research Resolution Reference Mk2 Balanced Interconnect X-Series

                        


No.360LとNo.38Lを繋ぐバランスケーブル。米国Synergistic Research社の中級モデルです。


説明する時に舌を噛みそうだけど略すのも何か(魂的な)に負けた気がしてムキになって口の中を血だらけにしながら言い切らねばならない長い名前と、ケーブルの外皮外側に微弱な電流を流すアクティブシールドが特徴のケーブルです。アクティブシールドは、MPCという付属のACアダプタを繋ぐか、アクティブシールドを集中管理する専用の機材を用います。


ケーブルメーカーとしては思い切ったモデルチェンジを続けていて、この10年ほどで初代、Mk2、X-Series、X2-Series、TESLA SERIESと変遷しています。更に、TESLA SERIESの上位グレードとしてGALILEO SERIESが生まれました。しかし玄茶屋の守備範囲は比較的昔の製品に集中しており、最新モデルはよくわかりません。興味のある方はTAK LABのクラシック音楽鑑賞日記をお読み下さい。そして欲しくなって下さい。ついでにアメリカ行って買ってしまえ。


現在はPSE法の関係もあり国内販売が困難なせいか、代理店が撤退してしまって直輸入に頼らざるを得ません。米国本社の勢いは衰えるどころか暴走気味なほど元気ですから、力のある良い代理店が出て来てくれる事を望みます。


アクティブシールド自体にも変遷がありますが、その話はMaster Control Center IIIの項目でしましょう。


ケーブル自体の構造は、オリジナル調合の銀合金導体を複数束にして個別に被服し、更にプラス・マイナス別にE.M.I吸収ワイヤーを仕込んでまとめて被服して、2本のケーブルをゆるくひねっています。近年の流行からは珍しく外れていて、端子なんぞ知った事かとばかりに普通のプラグを採用しています。銀線が使われているのが最も廉価なモデルで、その上が銅線であったりと、固定概念に囚われず積極的に素材を駆使した音作りがなされていることからも、ケーブルのデザインに自信のあるメーカーなのでしょう。


このX-Series世代のResolutionは、音の出る瞬間や止まり際でのブレが感じられず、静と動の描き分けがすこぶる明快です。大量の情報の中でも、そのブレの無い明快さが弱音にまで徹底されています。帯域バランスも良好で、S/Nとレンジの広さのバランスが秀逸です。この音の特徴はやはり銀を中心とした合金とアクティブシールドに因るところが大きいのではないかと思います。一般的なただの銀線と比べて力強く、普通のシールドとは一線を画す異質な静けさがあり、ノイズフロアの低さが閉塞感ではなく視野と視力が上がるような明確さとして感じられます。

Kimber Select KS-9038

                        

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KimberのSelectシリーズのジャンパーケーブルです。銅のKS-9033、銅銀ハイブリッドのKS-9035、純銀のKS-9038とある中の純銀タイプになります。


ラインナップはスピーカーケーブルと同じですが、ジャンパー用ケーブルという事もあって構造は簡略化され、プラス用、マイナス用それぞれのブラックパール銀撚り線をテフロン被服し、メッシュで保護してメッシュの端を熱収縮チューブでまとめ、端末をWBTの金メッキ銅スリーブでカシメただけとなっています。長さは30cmほど。


そのKS-9038の端子に使われているWBT-0600バナナプラグを取り外し、L/R用計4本のジャンパーケーブルを2本ずつホットとコールドに割り振ってOYAIDEのC-037とP-037電源プラグを取り付け電源ケーブル化しました。アースは繋いでいません。


購入当初は、バイワイヤリング対応仕様であるB&WのMatrix 802 S3の中高域用端子と低域用端子を繋ぐジャンパーケーブルとして普通に使っていた物です。かなり強烈に音が変わるため、繋ぎ方には注意が必要でした。スピーカーケーブルのKS-3033を低域用端子に繋ぎ、ジャンパーケーブルで中高域用端子まで伸ばす形で接続すると、中高域の伸びと繊細な表現は顕著なものの、低域の表現とは見事に乖離します。組み合わせパターンを試聴して確認した結果、中高域用端子にスピーカーケーブルのマイナス側を、低域用端子にプラス側を繋ぎ、それぞれにKS-9038で低域用、中高域用へと接続するのが一番バランス良く鳴りました。これほど音の変わるジャンパーケーブルを使うまでは気付きませんでしたが、バイワイヤリング対応スピーカーにおいて高域側と低域側のまとまりを良くする方向では、そのたすき掛け接続がお金の一切かからない簡単音質改善法と言えるでしょう。


現在はスピーカーがシングルワイヤ仕様のDynaudioのConfidence C2になったため出番が無くなっていましたが、それならプラグ付けて電源ケーブルにでもしてしまえと脳内で悪魔が囁いたため、このようになっております。しかし長さは30cmですから、普通のコンセントではまず使えないでしょう。玄茶室では、屋内配線を使わず室外の電源装置から自作の電源延長ケーブルを各機器手前まで引いているので、問題無く接続出来ています。接点の増加はマイナスですが、使い勝手との天秤ですね。


電源ケーブル化の際、オヤイデのプラグにする前に、AC DESIGNのConclusion PWに取り付けてあるIeGOの銀無垢プラグも試しています。銀無垢の方はオヤイデと違ってプラグ内部のケーブル接続部が小さいため、ジャンパーはホットとコールドに一本ずつしか使えません。音はKimber Selectのブラックパール銀らしさだけ取れば、銀無垢の方が個性は際立っていました。しかし、圧倒的にホットとコールド二本ずつ使用したSQUARED仕様の方が格上だったため、最終的にオヤイデのプラグを採用しました。


SQUARED化は、ヌケの良い繊細でデリケートな高域が圧倒的な音数に支えられることにより、モノトーン的な弱音表現から、より幅広い音色の弱音表現をするようになります。

WBT-0660Ag

                        

米国Kimber社製Selectグレードのスピーカーケーブルに採用されている、ドイツWBT社製純銀スペードプラグ。


型番末尾のAgとは銀を意味し、0680あるいは0660という数字の違いはYラグ内径の大きさを示しています。末尾にCuと付く金メッキ銅タイプもあります。Yラグの内径は、取り付ける機器側の端子の形状により適宜選ぶものですが、外径サイズは共通になっているので、サイズさえ合っているなら内径の小さな0660番を選んだ方が接触面積が広くなり、安定して接続する事が出来るようになります。


スピーカーケーブルへの装着方法は圧着スリーブの上からのネジ止め式です。樹脂により先端が閉じられていますので、Kimber Selectの端末加工のようにケーブルの被服の端をある程度太くしておけば差し込み口側もフタができ、経年劣化を抑える事が出来ます。


Kimber Select / KS-3038には標準で取り付けられている端子ですが、KS-3033にもオプションで追加料金を払えば特注が可能です。特注した場合、端末加工の圧着スリーブは標準の金メッキ品ではなく、純銀スリーブとなります。ただ柔らかく強度的には弱い素材ですので、後に端子交換をするような場合には注意が必要です。


オール・ハイパー・ピュア・カッパーであるKS-3033に、WBTの銀端子を両端に取り付ける事で、Kimber Selectのブラックパール銀特有の繊細感を有さない銀・銅ハイブリッド化が可能です。ピアノ左手側の音が鋭く、女性の声に華を加え、音の像にカチリとした触感が伝わるように感じられます。他方、KS-3033の弾むような音の出方と低音のふくよかさはある程度減退します。

Transparent RDL

                        

かつて、Wadia7がRCA同軸デジタル出力を持たなかったために手放してRAESへと買い替え、今度はWadia170がAES/EBU出力を持たなかったために再び入手した米国Transparent社Referenceグレードデジタルケーブル。以下ほぼRAES1の内容のコピペ。


TransparentのReferenceグレードで唯一、箱のつかないケーブルです。存在意義「箱」なメーカーの「箱無し」をこよなく愛する玄茶屋にとって欠かせない一品。ケンカ売ってんのかと脅されて這いつくばっても何度でも縋り付くよーに言いましょう。箱は別にいいから。


Transparentという名の通り、空間の透明度が高く、その中で精密描写の如く音像が定位します。高域の滑らかさと低域の密度と伸びが両立し、特に低域深くまで均一でブレの無い描写は見事です。


表面を研磨した極太導芯を使っているらしいですが、一般的な銅単線系のような実体感重視で高域が丸く落ちる感じは全く無く、線材構成の異なる同社のRSEと非常に共通点の多い音がします。特にRSEの箱が金属製だった頃の音に近く、重心を低くして安定感をもたらす傾向があります。もしかしたら、重心の低さはRCAコネクターの外装がオリジナル設計の金属製となっているのが影響しているのかもしれません。


近年、各シリーズのコネクターや箱は金属製から樹脂やカーボン製に変更されていて、音の傾向も重心の低さや密度の高さを特徴とするものから、ニュートラルな帯域バランスや空間表現の一層の拡大を特徴とするものに変化しています。マイナーチェンジ後のモデルは、上流から下流まで同ブランドで統一しても暗さや重さが過多とならないバランスの良さを獲得したものの、ここには一本コレしか無いという魅力は後退しました。特にKimber Selectの銀線を好んで採用する場合、どの箇所でも良いので一本は旧型のTransparentが欲しいところです。


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